こんにちは。お米を育てる音楽家、ジョーです。
今日、紹介するのは
C.ローズの「32のエチュード」
というエチュードです。

広く親しまれている有名なエチュードを詳しく見てみましょう。
本書の特徴
奇数番号がメロディーを歌う曲(ゆっくりとしたテンポ)、偶数番号が軽快なテクニカルな曲(速いテンポ)で構成されていることが最大の特徴です。
これによりテクニックの練習のみに偏ることなく、特に奇数番号の曲において音楽的な表現力も身に付けていくことができます。
エチュードというと同じ音型の繰り返しによる徹底した指のためのものもありますが、本書の偶数番号の曲はテーマとなる音型はあるものの、より自由に音楽的にまとめられています。
内容
1 | C-dur | 4/4 | Andante cantabile | 解説 |
2 | C-dur | 3/8 | Allegro | 解説 |
3 | a-moll | 4/4 | Andante sostenuto | 解説 |
4 | a-moll | 4/4 | Allegro | 解説 |
5 | G-dur | 4/4 | Adagio | 解説 |
6 | G-dur | 2/4 | Allegro | 解説 |
7 | e-moll | 6/8 | Allegretto | 解説 |
8 | e-moll | 2/4 | Allegro | 解説 |
9 | F-dur | 4/4 | Moderato assai | 解説 |
10 | F-dur | 4/4 | Allegro moderato | 解説 |
11 | d-moll | 3/2 | Larghetto | 解説 |
12 | d-moll | 3/4 | Allegro moderato | 解説 |
13 | D-dur | 3/4 | Adagio non troppo | 解説 |
14 | D-dur | 3/4 | Tempo di Polacca | 解説 |
15 | h-moll | 3/4 | Adagio | 解説 |
16 | h-moll | 2/4 | Allegretto | 解説 |
17 | B-dur | 4/4 | Adagio cantabile | 解説 |
18 | B-dur | 6/8 | Allegro vivace | 解説 |
19 | g-moll | 3/4 | Adagio | 解説 |
20 | g-moll | 3/8 | Allegro vivace | 解説 |
21 | A-dur | 4/4 | Andante cantabile | |
22 | A-dur | 4/4 | Allegro moderato | |
23 | Es-dur | 4/4 | Andante con moto - Adagio | |
24 | Es-dur | 2/4 | Allegro moderato | |
23 | c-moll | 6/4 | Andante con moto | |
26 | c-moll | 4/4 | Allegro furioso | |
27 | E-dur | 4/4 | Andante | |
28 | E-dur | 3/4 | Allegro | |
29 | H-dur | 9/8 | Andante | |
30 | H-dur | 2/4 | Allegretto | |
31 | Des-dur | 4/4 | Adagio | |
32 | Des-dur | 3/4 | Allegro moderato |
偏りなくバランスよく練習できる
曲の一覧を見てもらうと分かるように、調・拍子・速さのすべてにおいて偏りなく揃っていることから、バランスのよいエチュードだということが分かります。
調は、すべての調を網羅しているわけではありませんが、調号5つまでのより使用頻度が高いと思われる調が選ばれています。(fis-mollとcis-mollがありませんが、このようなシャープ系の調はA管で吹くことによって少ない調号で吹くことができます。そのために省かれているとぼくは推測します。)
拍子は、変拍子はないものの、基本的な拍子が揃っています。
速さは、遅い・速いだけに留まらず、遅い曲が中心の奇数番号でも割と動きを持って演奏するものがあったり、速い曲が中心の偶数番号でも割とかっちり目に速さを押さえて演奏するものもあったりと、様々なテンポが含まれています。
それぞれの曲には、これを身に付けるためのエチュード、と明確に感じる曲は少なく、1曲の中で様々なテクニックを身に付けるように書かれています。
1つ1つの課題を先生と確認しながら進めていくことが必要です。
楽曲の構成にも注意してみよう
このエチュードは1曲1曲が音楽的な素敵な小品として書かれています。
次のことについて考えてみましょう。
- 今、何調を吹いているのか?
- 何調で終止したのか?
- それは主調?属調?平行調?遠隔調?
これは表現をする上での大きな手掛かりになります。
特に長調から短調が変わった時に、あるいは逆の時に、それに気づいて表現できるかは大きなポイントです。
楽譜には調による変化が表現できるように指示がある場合もありますが、なぜそれが書かれているのかまで分かって吹けるようになると、より自然に表現できるようになります。
- 主題(テーマ)は戻ってくるのか?
- 曲の大まかな構成は?
西洋音楽において楽曲の形式を考えることは最も大事なことと言えるでしょう。
ソナタ形式でも三部形式でもロンド形式でも、主題は必ず戻ってきますよね。
今、自分が吹いているのは主題なのか、主題と対照的なものなのか、 主題の変型なのか、経過的なものなのか、 を理解して吹きましょう。
どのエチュードにも言えることですが、特にこのエチュードはただただ指を動かして満足するのではなく、曲として完成度を高めるところまで練習してほしいですね。
1曲ずつ曲を分析していますので、そちらも合わせてご覧ください(^^)