第9番【ローズ『32のエチュード』を徹底解説】

ローズ『32のエチュード』を徹底解説
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こんにちは。お米を育てる音楽家、ジョーです。

引き続き、ローズ『32のエチュード』を1曲ずつ徹底解説していきたいと思います。

曲を解説するにあたり小節番号を用いていますので、小節番号を記入の上で読んでください。

このエチュードの概要については以下の記事をご覧ください。

テクニックも表現力も身に付く『32のエチュード』C.ローズ

構成

この曲は5つの部分に分けて考えたいと思います。

小節番号部分調
1-8部分1(提示)F-dur
9-19部分2F-dur
20-27部分3F-dur → C-dur
28-46部分4C-dur → F-dur
47-50部分5(再現・コーダ)F-dur

それぞれの部分を細かく見てみましょう。

部分1(提示)

1小節目からテーマ(ファーミファソファドラ…)が提示されます。

2分音符と8分音符がタイでつながっていて、そこから16分音符で動き出すという音型です。

この音型に注目してみると、2小節目や5小節目もタイでつながった音の後、16分音符で動き出します。

6小節目の2拍目と3拍目もタイでつながっています。

このように、音価は違うものの、この部分にはタイでつながっているというテーマの要素が散りばめられているのが分かります。

部分2

9小節目からの部分2はpになり、前の部分と明確に対比されます。

音価も長めの音符が多くなり、全体として優しいキャラクターと言えるでしょう。

16小節目からはfになり、厳格な雰囲気でこの部分を終わります。

部分3

20小節目からの部分3は再びpになり、やはり前の部分と対比されます。

この部分で特徴的なのは、3連符が現れるということです。

16分音符のかっちりとした雰囲気から一変して3連符の柔らかいニュアンスが求められます。

テーマとは全く異なるキャラクターではあるものの、20小節目の2拍目と3拍目はタイでつながっており、テーマの要素も見られます。

この部分はF-durから始まり、属調であるC-durへと転調し終わります。

部分4

ここからは前の部分に頻出していた3連符がほとんどありません。

この部分で気をつけることは、フレーズの長さが不規則であるということです。

フレーズは以下のように考えることができるでしょう。

3小節(28-30)、5小節(31-35)、3小節(36-38)、4小節(39-42)、4小節(43-46)

特に5小節フレーズはよくある4小節フレーズより1小節長いので、うっかりフレーズを短く感じてしまいがちです。

この曲の場合、33小節目でフレーズを閉じたくなりますが、むしろその部分は次に進めてあげる必要があるでしょう。

部分の終わりでは、一瞬だけ3連符の要素が現れ、前の部分を回顧します。

部分5(再現・コーダ)

冒頭で提示されたテーマは十分に再現されることはなく、曲の最後でコーダの要素として1度だけ現れるだけです。

risolutでこの曲を堂々と締めくくります。


この曲は明確な構成があるというよりは、部分2~部分4にかけて新しいメロディーが次々と現れ、流れるように曲が進んでいきます。

付点音符のリズムを正確に

部分3に3連符が出てきましたが、そこには付点のリズム(付点8分音符+16分音符)も出てきました。

この付点音符のリズムは正確に演奏することが重要です。

付点が甘くなっていませんか?

よくありがちなのが、付点が甘くなるという現象です。

付点が甘いというのは、付点8分音符が短くなり16分音符が長くなるということです。

本来であれば音価の比率は3:1になりますが、2:1に近くなってしまうということです。

この曲の19小節目を例に見てみましょう。

(左)原曲 (右)付点が甘くなった例

右側の付点が甘くなった例は、付点が甘くなり3連符になってしまった例です。

付点8分音符は16分音符3つ分

このリズムを正確に演奏するためにはどのようにしたら良いのでしょうか。

「付点のリズムはタータだよね~」というルーズな感覚ではダメです。

「タータ」というリズムの捉え方は、リズムの特徴を大まかに理解することができる分かりやすい捉え方ではあるものの、その「ター」の長さを万人が正確に再現するのは難しいです。

まずは全てを16分音符に分解し、付点8分音符はその3つ分であると正確に認識しましょう。

(左)原曲(右)音価を16分音符に分解して記譜し直したもの

右側のように音価を16分音符に分解して考え、付点8分音符に16分音符が3つ入っているか、よく確認する必要があります。

練習として、実際に全ての音符を16分音符にして演奏するのもよいでしょう。

対比のためにより付点をきつく

楽譜通りの音価できちんと演奏することは最低限の条件です。

3連符との対比をよりつけたいのであれば、付点をきつく表現するのも一つの方法です。

付点があまいというのは付点8分音符が短く、16分音符が長いことでしたが、付点がきついというのは逆に付点8分音符が長く、16分音符が短いということです。

付点があまいきつい
付点8分音符が短い長い
16分音符が長い短い
与える印象柔らかい、優しいかたい、厳しい

ただし、あまりにも付点をきつくしすぎるのはNGです。

何事も適度にセンスよくやりましょう。


「付点が甘い」という指摘はよくある指摘のひとつです。

その時は音符を分解して確認してみるとよいでしょう。

楽譜を正確に再現することは、奏者にとって最も大事で基本的な仕事です。

また次回!

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