第8番【ローズ『32のエチュード』を徹底解説】

ローズ『32のエチュード』を徹底解説
スポンサーリンク

こんにちは。お米を育てる音楽家、ジョーです。

引き続き、ローズ『32のエチュード』を1曲ずつ徹底解説していきたいと思います。

曲を解説するにあたり小節番号を用いていますので、小節番号を記入の上で読んでください。

このエチュードの概要については以下の記事をご覧ください。

テクニックも表現力も身に付く『32のエチュード』C.ローズ

構成

この曲は5つの部分に分けて考えたいと思います。

小節番号部分調
1-15部分1(提示)e-moll
16-31部分2e-moll
32-46部分3G-dur → e-moll
47-61部分4(再現)E-dur
62-79部分5(コーダ)e-moll

それぞれの部分を細かく見てみましょう。

部分1(提示)

1小節目からテーマが提示されます。

テーマの要素は次のとおりです。

  • 4分休符から始まる
  • 16分音符の連続
  • 1つのスタッカートと3つのスラー
  • 刺繍音を含む音型(シドシ)

4小節間は上記のパターンで動き、5小節目以降はそのパターンから発展していきます。

9小節目からは1つのスタッカートと3つのスラーという要素を繰り返し、15小節目で半終止します。

部分2

4分休符から始まりますが、テーマの要素は完全になくなります。

特にスタッカートがなくなり、すべてスラーになっていることに注目しましょう。

全体としてスラーを意識した吹き方に変えると良いでしょう。

経験者は感覚的にその違いを捉えることができますが、テーマの要素があるかないかを観察すれば、テーマと吹き分けるべきなのか、テーマと同じように吹くべきなのか、おのずと分かってきます。

この部分はe-mollの主和音で終わり、繰り返し記号によって繰り返されます。

部分3

4分休符の後メロディーが始まります。

1つのスタッカートと3つのスラーや刺繍音(レミレ)があり、テーマの要素も多少含ませることによって関連付けられていることが分かります。

ただし、跳躍進行も目立つように、新しい動きも十分に含まれています。

途中から短調に転調し、この部分は短調で終わります。

部分4(再現)

フェルマータのついた4分休符の後、テーマがE-durで再現されます。

この曲は主調(e-moll)でテーマは再現されず、この同主調での再現のみです。

一部を除き、ほとんどが長調に転調されているだけです。

半終止した部分1とは異なり、この部分の最後は主音で全終止します。

部分5(コーダ)

4分休符の後、新しい要素を用いてコーダ部分になります。

この部分の調はe-mollで統一されており、最後はテーマの要素(1つのスタッカートと3つのスラー)を用いながら終わります。

隠れた順次進行に気づこう

音の並びを見る時に、隣との音の関係を見ることも重要です。

例えば、順次進行しているのか、跳躍しているのか、跳躍であればそれは3度進行なのか、オクターブ進行なのか、などです。

それに加えて、時には離れた音符の関係を見てみることも必要です。

具体例を見ながら用いながらそれぞれ詳しく解説します。

35小節目・36小節目

半拍ごとに、ソ→ラ→シ→ド→レ→ド♯→ド♮→シ→ラ

半拍ごとにはオクターブでの進行(ソ→ソ)ですが、それぞれのオクターブは順次進行していることが分かります。

オクターブの連続と考える視点も必要ですが、それぞれが順次進行であると考える視点も必要です。

39小節目・40小節目

8分音符ごとに、ファ→ソ→ラ→シ→ド→ド♯→レ→ド♮→シ

上の音はファソラシ…と順次進行し、その裏では常にレが同音で連続しています。

このように同じ音を間に挟んで、その上声部(もしくは下声部)がメロディーを形成している、というのは多くの曲で見られる典型的なパターンです。

9小節目~13小節目、55小節目~59小節目

ミ(9小節目2拍目頭)→ファ(10小節目2拍目頭)→ソ(11小節目2拍目頭)→ラ♯(12小節目2拍目頭)→シ(13小節目頭)

1拍目のミミファミを挟みながら、2拍目が2度ずつ上行しています。

この場合は同じ音を挟むのではなく、同じ音型を挟んでいます。

45小節・46小節、69小節目~71小節目

ミ(45小節目2拍目頭)→ファ(46小節目1拍目頭)→ソ(46小節目2拍目頭)

ラ(69小節目2拍目頭)→ソ(70小節目1拍目頭)→ファ(70小節目2拍目頭)→ミ(71小節目1拍目頭)

どちらもシドシという音型を挟みながら進行しています。

複数の視点が必要

旋律を観察するときは隣の音との関係を見ることも必要ですし、少し離れた音との関係を見ることも必要です。

構成を見るときも、曲全体をいくつかの部分に分けて考えることも必要ですし、さらにその部分を細くフレーズに分けて考えることも必要です。

音楽を分析するときには、細かく見たり大きく見たり、常に複数の視点が必要になります。

細かい部分だけにとらわれると全体が見えなくなりますし、全体しか見ていないと細部が疎かになります。

常に複数の視点で音楽に向き合うという姿勢が大事になってきます。


この曲は隠れた順次進行がとても分かりやすいタイプでした。

むしろそんなに隠れていない(笑)。

離れた音同士で順次進行していたりメロディーを形成していることは、いろいろな曲で見られます。

そういう音を見つけられると、音楽の流れが大きくなり、より豊かに表現することができるようになると思います。

それではまた次回!

スポンサーリンク