第5番【ローズ『32のエチュード』を徹底解説】

ローズ『32のエチュード』を徹底解説
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こんにちは。お米を育てる音楽家、ジョーです。

引き続き、ローズ『32のエチュード』を1曲ずつ徹底解説していきたいと思います。

曲を解説するにあたり小節番号を用いていますので、小節番号を記入の上で読んでください。

このエチュードの概要については以下の記事をご覧ください。

テクニックも表現力も身に付く『32のエチュード』C.ローズ

構成

この曲は4つの部分に分けて考えたいと思います。

小節番号部分調
1-8部分1(提示)G-dur → D-dur
9-28部分2G-dur → C-dur → G-dur
29-33部分3e-moll
33-55部分4(再現・コーダ)E-dur → e-moll → G-dur

いつもと同じように部分に分けてみましたが、この曲はあまりはっきりとした形式感があるとは言えないかもしれません。

部分ごとに詳しく見てみながら考えてみましょう。

部分1(提示)

まずは1小節目からテーマ(シードファ)が提示されます。

音型に沿ってクレッシェンド・デクレッシェンドが書かれており、とても自然なメロディーです。

4小節目で半終止し、その後クレッシェンドし、8小節目で属調であるD-durで終止します。

フレーズも2小節+2小節+4小節と考えることができ、そういう意味でも自然で、分かりやすく歌いやすいメロディーです。

部分2

9小節目からは新しいメロディーがG-durで始まります。

11小節目からはそのメロディーがC-durで繰り返され、その後発展していきます。

この先、長い音符による主音での終止はしばらくありません。

16小節目で一旦G-durで終止しますが、メロディーは第3音(シ)で終止するため、完全な終止とは言えません。

21小節目も半終止ですが長い音符はなく、ゆっくりする間もなく次へと進んでいきます。

23小節目も半終止ですが、やはり次へ次へと進んでいきます。

25小節目のfで頂点に達し、その後ディミヌエンドし、28小節目でようやくG-durで終止します。

このように部分2はところどころに終止感があるところはあっても、長い音符で終止する部分や前後で性格が変わるような部分はなく、1つの長い音楽を形成していることが分かります。

部分3

28小節目の3拍目から、fかつスタッカートで新しいメロディーが出てきます。

調も平行調であるe-mollで、完全に対比されている部分であることが分かります。

4小節と短い部分にはなりますが、印象が強い部分と言えます。

いかにキャラクターを変えて表現できるかがポイントです。

部分4(再現・コーダ)

33小節目2拍目からの半音階に続き、34小節目からテーマが再現されます。

部分3の厳格な感じとはガラリと雰囲気を変える必要があります。

音については若干の違いがあるものの、テーマの再現であることははっきりと分かります。

注目すべきポイントは調です。

ここの調であるE-durは、G-durの平行調(e-moll)の同主調です。

全く遠い遠隔調というではありませんが、○○調の○○調という2段階でたどりつく調なので、少しだけ遠い調です。

単純に属調・下属調・平行調・同主調ではなく少しだけ工夫された調ですので、そんなおしゃれな雰囲気を醸し出せるととてもいいかもしれません。

E-durのテーマの領域は長く続かず、38小節目でe-mollになります。

40小節目にはG-durになり、コーダへと続いていきます。

50小節目からは完全に終結部分です。

レレレシードファソというテーマの要素を繰り返して、最後はppで終止してこの曲を終わります。

この部分4は再現の要素はあるものの、その要素は非常に少なく、自然にコーダへとつながっていきます。

部分2が長く続く部分であったことからも、この曲は全体としてきっちりとした形式によって構成されているというよりも、構成を感じさせるような要素(テーマの要素を少しだけ再現させる)を取り入れつつも全体としては流れるような曲として捉えるのがいいのかもしれません。

どの調も同じように吹けるように

1小節目からのテーマはG-dur、つまりシャープが1つなのであまり苦労することなく吹けることでしょう。

そして34小節目からのテーマはE-dur、つまりシャープが4つで、それに加えて35小節目には32分音符という非常に細かい音符があります。

クラリネット奏者としては後者のほうが圧倒的に吹きにくいのは明らかですが、聴衆にとってはどちらも同じテーマです。

テーマが戻ってきたら、それが同じテーマと分かるように聴こえてほしいものです。

シャープが多くて指がバタバタしたり、ぎこちなくなったりしていませんか?

E-durのテーマもG-durと同じように聴こえなければいけません。

G-durと同じようになめらかに自然に吹けているか、チェックしてみてくださいね。

聴いている人に奏者の都合を押し付けない

仮に冒頭のG-durのテーマがなめらかに吹けて、E-durのテーマがぎこちなかったとしましょう。

ぼくがそれを聴いていたら

「そうそう、E-durのテーマ、たしかに吹くの難しいよな~」

と思って聴きますが、そう思って聴くのはクラリネット奏者だけです。

ほとんどの人は

「同じテーマなのに、調が変わったら急に下手になった」

としか思いません。

クラリネット奏者の都合は聴いている人には分かりません。

G-durなら上手に吹けるけど、E-durだと吹けないなんてことがないように。

どんな調で吹いても、同じように聞こえるようにしましょう。


難しい調やパッセージになると、ついつい指を動かすことばかりに集中しがちです。

そういうときこそ、魅力のある音楽として成り立っているかじっくり自分の音を聴いてあげましょう。

それではまた次回!

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