第4番【ローズ『32のエチュード』を徹底解説】

ローズ『32のエチュード』を徹底解説
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こんにちは。お米を育てる音楽家、ジョーです。

引き続き、ローズ『32のエチュード』を1曲ずつ徹底解説していきたいと思います。

曲を解説するにあたり小節番号を用いていますので、小節番号を記入の上で読んでください。

このエチュードの概要については以下の記事をご覧ください。

テクニックも表現力も身に付く『32のエチュード』C.ローズ

構成

この曲は4つの部分に分けて考えたいと思います。

小節番号部分調
1-12部分1(提示)テーマ1a-moll
12-23部分2テーマ2C-dur → a-moll
24-35部分3(再現)テーマ3a-moll
36-43部分4(コーダ)コーダA-dur → a-dur

部分1~4は提示されたテーマが主調で戻ってくるという観点が考えた場合です。

部分2の平行調によるテーマも重要視するのであれば、表の※列のようにテーマが3回出てくると考えることもできるでしょう。(詳しくは部分2をご覧ください。)

それでは部分ごとに詳しく見てみましょう。

部分1(提示)

1小節目から、この曲のテーマ(ミファミドララララララララ)が提示されます。

テーマには

  • 4分休符から始まる
  • 刺繍音(ミファミ)からの3度下行(ミド)
  • 16分音符4つにかかるスラー (ミファミド)
  • 同音の連続(ララララ…)

という要素が含まれていることを確認しておきましょう。

3小節目からは16分音符2つにかかるスラー(ラミ)と同音の連続(ミミミ)、4小節目は16分音符2つにかかるスラーの連続(ドミ、ファミ)などと、次第にテーマの要素から離れていきます。

長い2度音程の連続の後、12小節目の頭のフェルマータで一旦終止します。

ミの音はa-mollの属音ですので、部分1はa-mollの半終止で終わります。

部分2

12小節目の2拍目から、テーマがC-durとなって現れます。

15小節目までの4小節間は完全にとまでは言えないものの、冒頭をほとんど忠実にC-durで再現しています。

この再現を重要なテーマとして扱うのであれば、この曲は部分1・2・3で3回テーマが現れると考えることができますが、やはり主調のa-mollだけが重要視されると考えれば、正式な再現は部分3を待つことなります。

16小節目からはまったく新しい動きになり、19小節目でa-mollで一旦終止します。

20小節目からは

  • 刺繍音(シドシ)からの3度下行(シソ)
  • 16分音符4つにかかるスラー (シドシソ)
  • 同音の連続

という要素があり、テーマを感じさせます。

ただし、4分休符から始まっていませんので、その点は異なります。

この部分は後に再現されるテーマの暗示と言えるでしょう。

部分3(再現)

24小節目からテーマがa-mollすなわち主調で再現されます。

ほとんど同じに見えますが、1箇所だけ異なります

冒頭3小節目の4拍目はレミミミですが、再現の26小節目の4拍目はミミミミです。

3小節目の場合は4小節目につながるため、レ→ドというV7の第7音→Iの第3音という流れがありました。

一方で26小節目の場合は27小節目で音がなくなるため、3小節目と同じだとレの解決先がなくなります。

そのためこの部分は完全な半終止として第7音を用いず、三和音(ミソ♯シ)のみになっているのです。

27小節目の全休符を経て、28小節目からはテーマの要素(スラー、同音の連続)も用いながら自由に進んでいきます。

34小節目と35小節目ではミの連続が3回出てきて、半終止を印象づけます。

部分4(コーダ)

コーダ部分は今までになかったまったく新しい要素で形成されています

さらに36小節目はCis音を含んでいて、いきなり同主調のA-durから始まります。

曲の終結部と言えども、今までになかった新しい雰囲気にする必要があるでしょう。

39小節目からはそれが短調で繰り返され、そのまま曲はa-mollで終止します。

頻出するフェルマータ

この曲をざっと見た時に気づくのが

「フェルマータがすごく多い。」

なんとこの短い曲の間に5回も出てきます。

フェルマータを見ると機械的にその音価の2倍にしたり、とりあえず長くしておけばいいと思っている人がたまにいますが、それはやめましょう。

1つずつ、どのように処理したら良いか考えてみます。

12小節目1拍目

8分音符にフェルマータがついています。

フェルマータを見るとなんでもかんでも長くしてしまう人がいますが、まずは8分音符についているというところをしっかりと確認しましょう。

8分音符についているフェルマータですから、とても長い音にはなりえません。

しかし、2倍といって4分音符でいいかというと、それでは半終止の感じがうまく表現できないと思います。

半終止したことが分かる程度の落ち着ける長さがいいと思います。

12小節目1拍目裏

ここも8分音符にフェルマータがついています。

このフェルマータの時に奏者がする作業は

  • C-durで吹く準備をする
  • しっかりブレスをする

という2点だと思います。

ブレスをするだけであればあまり時間は必要ありませんが、奏者・聴衆ともにC-durになる準備の時間が必要です。

あまり開けすぎると間延びしますが、短すぎるとC-durがかなり唐突に聴こえます。

ここにフェルマータがあることからも、いきなりC-durでびっくり、という演出を作曲者が望んでいないのが分かります。

24小節目1拍目

ここはテーマの再現の前にあるフェルマータです。

もちろん休符を長くという意味合いもありますが、12小節目もそうだったように、新しい部分との分かれ目になることも多いです。

フェルマータがあったら新しい部分になるのかな、と考える必要があります。

休符の長さですが、23小節目から引き続きa-mollで続くので調を切り替えるような長い時間はあまり必要ないと思います。

ただし、改めて再現するぞという心の準備ができる長さにしましょう。

27小節目

全休符にフェルマータがついています。

これを完全に2倍程度の音価にしてしまうと、かなり休符が長くなります。

28小節目から全く新しい部分になるわけでもなく、調も変わりません。

もし仮に休符を長くするとしたら聴衆は全く新しい展開を期待するでしょう。

完全に全休符どおりの休みだとフェルマータの意味がありませんので、全休符より気持ち落ち着いて休むくらいでいいのではないでしょうか。

35小節目

36小節目からはコーダで、長調による全く新しい要素です。

がらりと雰囲気が変えることができるくらい、休みましょう。

フェルマータの意味を考える

このように、それぞれのフェルマータを見てみると、少しずつ役割が違うということが分かります。

多くは新しい部分の前に置かれることが多いですが、全体の構成を理解していないとそれが判断できません。

また、フェルマータの前後が何調でどんな部分なのかが分かっていないと、しっかり吹き分けるべきなのか、あまり休み過ぎないようにするのか判断できません。

フェルマータがあるから長く伸ばすのではなく、なぜそこにフェルマータがあるのか考えてみると、おのずとどのくらい伸ばしたらいいのか分かってきます。


フェルマータの長さに正解はないので、どのように吹いても間違いではありません。

ただし、その音楽の流れに適している長さというのはあります。

それは先生からの指導やいい演奏をたくさん聴くことによってしか身につけることはできません。

心にスッと入ってくる演奏ができるようになるといいですね!

また次回^^

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