第2番【ローズ『32のエチュード』を徹底解説】

ローズ『32のエチュード』を徹底解説
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こんにちは。お米を育てる音楽家、ジョーです。

前回に引き続き、ローズ『32のエチュード』を1曲ずつ徹底解説していきたいと思います。

曲を解説するにあたり小節番号を用いていますので、小節番号を記入の上で読んでください。

このエチュードの概要については以下の記事をご覧ください。

テクニックも表現力も身に付く『32のエチュード』C.ローズ

構成

この曲は3つの部分に分けて考えたいと思います。

小節番号部分調
1-16部分1(提示)C-dur
17-32部分2a-moll
33-55部分3(再現・コーダ)C-dur

それでは部分ごとに詳しく見てみましょう。

部分1(提示)

1小節目から、この曲のテーマ(ソミシドソラ…)が提示されます。

テーマの要素としては、

  • 16分音符2つずつのスラー(ソミ、シド、ソラ)
  • 短2度の上行形(シド、ソ♯ラ、レ♯ミ、シド)

が挙げられます。

3小節目・4小節目は長いスラーがかかっていて、1小節目・2小節目とは完全に対比されています。

5小節目・6小節目はスタッカートですので、これもまた新しいアーティキュレーションです。

異なるアーティキュレーションを明確に吹き分けることによって、この曲の面白さが際立ちます。

部分2

17小節目からは、a-mollになります。

ダイナミクスレンジの指示はありませんが、短調になるので音色を変化させましょう

この部分は一貫してスラーがかかっています。

とにかくレガートで、歌いこむように吹くのが良いでしょう。

27小節目・29小節目に付点のリズムが出てきますが、このリズムは、17小節目のアウフタクトに出てきたリズムです。

部分2に現れる特徴的なリズムですので、その付点のリズムをきちんと強調しましょう。

部分3(再現・コーダ)

33小節目からは、C-durに戻ります。(長調の音色にしましょう。)

41小節目からはテーマの重要な要素(16分音符2つずつのスラー、短2度上行音型)により、テーマの再現を少し匂わせています

46小節目からテーマがオクターブ上で、52小節目でもテーマの要素が再現されますが、いずれも十分な再現ではなく、テーマが少しだけ戻ってくるだけです。

小節番号が戻りますが、44小節目ではこの曲の最高音であるファが出てきて、この曲の頂点になっています。


このように、この曲は明確に3つの部分に分かれてはいるものの、部分3には再現の要素あり、コーダの要素あり、という作りになっています。

ただし、部分2はa-mollで前後と明らかに異なるキャラクターだということを理解しておくことが重要です。

重要な音はどれ

この曲はほとんどが16分音符で、16分音符が長く連なっています。

長く続く16分音符が単調にならないよう、音型に起伏があったり、アーティキュレーションが様々に変化しているので、それらをきちんと表現することがまずは必要です。

それ以外にも、曲の表情を更に豊かにさせている重要な音がいくつか隠されているので、それについて説明したいと思います。

一瞬の転調をしっかり聴かせよう

10小節目と42小節目にあるシ♭に注目してみましょう。

このシ♭は単純にC-durのシが半音下がっただけではありません。

どういうことかというと、この部分はC-durではなく一時的にF-durに転調しているのです。

そのため、このシ♭はF-durの構成音ということになります。

以下の譜例を見てください。

ローズ『32のエチュード』第2番
(左)10小節目・11小節目(右)それからフラットを取り払ったもの

左は原曲です。

このシのフラットがあることによって、一瞬ですが転調し、16分音符の連続の中に豊かな表情が加わっています。

右はそのフラットを取り払い、C-durの中に収めたものです。

もちろん曲としては成り立ちますが、面白さがなくなっていることに気付くでしょう。

この音によって、一瞬ですが転調し、豊かな表情が生み出されているのです。

転調の役割を担っているこのシ♭の音ははとても重要ですから、大事に吹きましょう。

大事にと言っても、強くしたり長くしたりする必要はありません。

他の16分音符と同じようにただ漠然と過ぎてしまうのではなく、そういう重要な意味を持っていると理解して吹けばいいのです。

そうすれば不思議とこの音が滑ったり転んだりせず、自然と大事に吹いているように聴こえてきます。

減七の和音を聴かせよう

もう1か所、大事な箇所があります。

それは12小節目のファ♯とミ♭です。

以下の譜例を見てください。

ローズ『32のエチュード』第2番
11小節目~13小節目

分かりやすいように、この部分の和声を下段に示しました。

すると、12小節目の音は減七の和音になっていることが分かります。

この減七の和音というのは減音程を含んでいるため、非常に高い緊張感を持っています。

11小節目のファラドと和音の響きを比べて見ると、全く異なるのが分かると思います。

ですからこの12小節目は減七らしく緊張感を持って、楽譜に指示はありませんが13小節目に向かってクレッシェンドするような気持ちで吹くといいと思います。


いかがでしたか?

偶数番号の曲をテクニック練習の曲として早く吹いて終わってしまうのでは、とてももったいないです。

早くて短い曲であっても、構成や調を理解して吹くと表現の幅がぐっと広がります。

それからシャープやフラットがついている音は転調してるなど重要な音であることが多いので、その部分は特に注意して見てみる必要があるでしょう。

次回もお楽しみに!

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