第13番【ローズ『32のエチュード』を徹底解説】

ローズ『32のエチュード』を徹底解説
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こんにちは。お米を育てる音楽家、ジョーです。

引き続き、ローズ『32のエチュード』を1曲ずつ徹底解説していきたいと思います。

曲を解説するにあたり小節番号を用いていますので、小節番号を記入の上で読んでください。

このエチュードの概要については以下の記事をご覧ください。

テクニックも表現力も身に付く『32のエチュード』C.ローズ

構成

この曲は4つの部分に分けて考えたいと思います。

小節番号部分調
1-16部分1(提示)D-dur → h-moll
17-32部分2D-dur → h-moll
33-48部分3(再現)D-dur
49-62部分4(コーダ)D-dur

それぞれの部分を細かく見てみましょう。

部分1(提示)

1小節目からテーマ(ラーレファミレ…)が提示されます。

8小節目で半終止し、9小節目から再びテーマが繰り返されます。

2小節間は全く同じで繰り返されており、テーマが強調されている曲だと言えるでしょう。

その後、13小節目でラ♯が現れ、h-mollへと転調していきます。

16小節目で平行調のh-mollで終止します。

部分2

17小節目からは、複付点8分音符が特徴的な新しいメロディーが現れます。

D-durのV度から始まり、前半(17小節目~24小節目)はD-durで終止します。

後半(25小節目~)はダイナミクスレンジがfになり、雰囲気が変わります。

ここのメロディーにも複付点8分音符が用いられており、性格は違っても、部分2は複付点8分音符の要素によって統一されていると考えることができます。

fが保たれるのは2小節間だけで、27小節目からはpになります。

そしてリタルダンドの後、シの音がフェルマータで伸ばされ、シ♭の音を経由して次の部分(テーマの再現)へと移ります。

主調の属和音ではなく、半音階によってテーマの再現へと移っていくパターンはこのエチュードで初めてです。

再現への強い期待をもたせるのではなく、なめらかに再現へと移っていきます。

部分3(再現)

33小節目から、テーマが再現されます。

一見するとテーマと異なりますが、これはテーマの変奏です。

変奏についてはこの記事の後半で説明します。

ppで8小節間テーマが再現され、部分1と同じように41小節目からもう1度テーマが繰り返されます。

41小節目からのテーマは1オクターブ低くなっています。

ダイナミクスレンジがmfになっていることもあり、よりしっかりと再現を感じるのはこの部分でしょう。

33小節目からの再現がppかつ変奏で再現感が少し薄かったのとは対象的に、mfで堂々と確信を持ってテーマを再現しましょう。

48小節目で全終止します。

部分4(コーダ)

49小節目からは新しいメロディーになり、コーダの部分になります。

56小節目からはダイナミクスレンジがpになり、16分音符のメロディーが現れます。

その後、58小節目から再び16分音符のメロディーがオクターブ下で現れます。

60小節目にはダイナミクスレンジがppになり、ダイナミクスレンジや音域を変えながら、曲が終わることを少しずつ予告しています。

最後はモレンドで静かに曲を終わります。


  • 最初(提示)~終止…部分1(提示)
  • 再現~終止… 部分3(再現)
  • 部分1の終わり~部分3の始まり ……部分2
  • 部分3の終わり~最後… 部分4(コーダ)

以上のように考えれば、この曲は非常に分かりやすくシンプルな構成です。

変奏されたテーマ

分析したように、この曲は1小節目からテーマが提示され、33小節目からテーマが再現されます。

その再現されたテーマが変奏されていることは既に述べたとおりですが、どのように考えたら変奏だと分かるのでしょうか。

以下の譜例をご覧ください。

(上)1小節目~4小節目(下)33小節目~36小節目

これは提示の1小節目~4小節目と再現の33小節目~36小節目を上下に並べた楽譜です。

実際の楽譜で離れた位置にあると分かりにくいですが、このように上下に並べると似ていることがなんとなく分かってきそうです。

さらに共通した音を探してみましょう。

赤丸…共通した音

共通した音を赤丸で示しています。

3小節目は少ないですが、それ以外はとても多いことが分かります。

ほとんどの拍の頭は共通した音になっていて、変奏になっていることが分かります。

※1小節目3拍目はオクターブ違いですが共通の音として赤丸をしています。

「刺しゅう音」とは?

変奏にはいろいろな技法がありますが、ここでは分かりやすいものとして「刺しゅう音」を取り上げたいと思います。

刺しゅう音とは

ある音から順次進行(2度進行)して動き、元の音に戻る音

のことです。

例えばドの音に刺しゅう音で装飾がされると

ド・レ・ド または ド・シ・ド

と装飾されるということです。

さて、この変奏でどこに「刺しゅう音」が使われているかというと…

この部分です。刺しゅう音の音に「シ」と記しました。

それぞれの音は以下のように装飾されています。

  • ファ → ファ・ソ・ファ
  • ミ → ミ・ファ・ミ
  • レ → レ・ミ・レ

このように、2度上の音を挟んでいます。

37小節目、38小節目も同じように変奏されているので、自分で確認してみてくださいね。

いろいろな変奏曲を見てみよう

この曲での変奏はとても分かりやすい変奏でした。

楽譜を並べて比べてみると、共通した音がたくさんありましたね。

しかし、これは最も簡単で分かりやすい変奏の例です。

変奏曲と名前の付いた変奏がメインの曲となれば、その変わりぶりは見事です。

もちろん最初の方は分かりやすい変奏ですが、第2変奏、第3変奏と曲が進むにつれ、どんどん変化していきます。

クラリネットソロの変奏曲もあるので、ぜひいろいろな変奏曲を見てみてくださいね!

ではまた次回(^^)

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