第11番【ローズ『32のエチュード』を徹底解説】

ローズ『32のエチュード』を徹底解説
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こんにちは。お米を育てる音楽家、ジョーです。

引き続き、ローズ『32のエチュード』を1曲ずつ徹底解説していきたいと思います。

曲を解説するにあたり小節番号を用いていますので、小節番号を記入の上で読んでください。

このエチュードの概要については以下の記事をご覧ください。

テクニックも表現力も身に付く『32のエチュード』C.ローズ

構成

この曲は3つの部分に分けて考えたいと思います。

小節番号部分調
1-16部分1(提示)d-moll
17-33部分2F-dur → C-dur → F-dur → d:V
34-41部分3(再現・コーダ)d-moll

それぞれの部分を細かく見てみましょう

部分1(提示)

1小節目からテーマ(レーファミドレーララ…)が提示されます。

長いクレッシェンドをかけ、7小節目でfになり、8小節目で半終止します。

9小節目のアウフタクトから、テーマが変奏されて再び現れます。

音やリズムが変わっていますが、テーマの核となる音の流れは確かに汲み取っていることが分かります。

クレッシェンドした後、ディミヌエンドして16小節目で全終止します。

全終止は16小節目までないため、ここまでが一つの長いまとまりと考えることができます。

細かく考えたい場合は、8小節目の半終止で2つに分けて考えてもいいでしょう。

フェルマータ、休符を経て、新たな部分へと移ります。

部分2

動きの少ない新しい旋律がF-durで現れます。

長調に転調するので、少し明るい音色で吹くと良いでしょう。

21小節目でシのナチュラルが現れ、調はC-durへと転調していきます。

30小節目のフェルマータを経て、32小節目でF-durで終止します。

その後すぐにド♯が現れd-mollへと転調し、33小節目のフェルマータでd-mollの属音で終止します。

部分1や部分3に比べて全体に転調が多く、中間部としての機能を持っていると言えるでしょう。

部分3(再現・コーダ)

34小節目から、テーマが再現されます。

4小節間は音が全く同じですが、表現をやや控えた方が再現らしい演奏になるでしょう。

38小節目からは一気にクレッシェンドしてfになり、その後ディミヌエンドとフェルマータ、モレンドでこの曲を閉じます。

和声を考えよう

エチュードは伴奏がついていないものがほとんどです。

しかし、伴奏がついていないからと言って、メロディーしかない音楽というわけではありません。

メロディーの裏では必ずそれを支える和声(伴奏)があります。

ただメロディーを吹くだけではなく、それを支える和声まで想像して演奏できるとより良いです。

冒頭の和声は?

さて、では実際にどのような和声がつくのか考えてみましょう。

この曲の冒頭2小節の和声を考えてみましょう。

冒頭の和声

最も基本的なカデンツであるI-V-Iという和声が適しています。

和声を感じることができれば、V-Iという和声の解決も感じながらメロディーを演奏することができます。

ラ-ソ-ファはF-dur?d-moll?

部分2のメロディー(17小節目・18小節目)はラ-ソ-ファというメロディーで、上記の分析ではF-durとしました。

しかし、このメロディーにはF-durの和声とd-mollの和声、どちらも適しています。

実際に和声を見てみましょう。

(左)F-durで考えた場合(右)d-mollで考えた場合

このように、F-durのI-V7-Iと考えることも、d-mollのI-V7-Iと考えることもできます。

メロディーがそれぞれの和声音になっているため、全く違和感がありません。

和声の感じ方は自由だけど…

結論から言ってしまうと、和声の感じ方は自由です。

F-durと感じても、d-mollと感じても、どちらでも間違いではありません。

ただし、以下の理由からF-durと考える方がより自然だと思います。

  1. 休符がある
    • 前のd-mollの部分と完全に隔てられている
    • つまり、異なる調として感じるべき
  2. 20小節目はF-dur
    • d-mollからF-durと頻繁に転調していると考えるより、長いF-durの領域と考える

感覚的にも理論的にも分かるように

このように理論立てて考えていくと、どのような和声や調を感じたらより自然なのか理解することができます。

しかしプロの奏者は、これらを感覚で捉えて表現していることがほとんどです。

やはり長い時間をかけて培われた経験が生きているのでしょう。

感覚的に分かる人は、それがどのような理論によって支えられているのか理解することによって、人に分かりやすく伝えることができるでしょう。

逆に理論的に分かる人は、実際の音楽とその理論を関連付け、感覚と音楽も関連付けられるようになると良いでしょう。

いずれにしてもバランスよく音楽的なセンスを磨いていければ一番いいですね!

それではまた次回(^^)

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