第10番【ローズ『32のエチュード』を徹底解説】

ローズ『32のエチュード』を徹底解説
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こんにちは。お米を育てる音楽家、ジョーです。

引き続き、ローズ『32のエチュード』を1曲ずつ徹底解説していきたいと思います。

曲を解説するにあたり小節番号を用いていますので、小節番号を記入の上で読んでください。

このエチュードの概要については以下の記事をご覧ください。

テクニックも表現力も身に付く『32のエチュード』C.ローズ

構成

この曲は4つの部分に分けて考えたいと思います。

小節番号部分調
1-8部分1(提示)F-dur
9-16部分2C-dur → F-dur
17-32部分3B-dur → c-moll → C-dur → F:V7
33-42部分4(再現・コーダ)F-dur

それぞれの部分を細かく見てみましょう。

部分1(提示)

1小節目からテーマ(ラシシドレドラド…)が提示されます。

1拍目・2拍目が頭の2拍がスラー(タラタタ)なのに対して、3拍目は中の2つがスラー(タタラタ)になっているのが面白いところです。

アーティキュレーションを明確に吹けると良いと思います。

2小節目もテーマが全く同じように繰り返され、3小節目・4小節目は発展していきます。

この部分は中の2つがスラーになっていますね。

再び5小節目でテーマが現れ、6小節目から発展し、この部分はC-durで終止します。

部分2

C-durで全く新しいメロディーが現れます。

アクセントがついている拍の頭の音(ド・レ・レ♯・ミ)が旋律になっているのがポイントです。

この部分はF-durで終止します。

部分3

17小節目のアウフタクト(ファファファ)から、新しい部分が始まります。

前の部分の終わりと同じ音で始まりますが、新しいメロディーの調はB-durです。

17小節目の3拍目裏でミ♭の音が出てくることによってそれが分かりますが、奏者はアウフタクトの段階から下属調に転調したことを理解して演奏しましょう。

ダイナミックレンジもpになっていますね。

19小節目・20小節目ではラ♭の音やシ♮の音も出てきてc-mollに転調していることが分かります。

24小節目はmfになり、ミのフラットがナチュラルによって打ち消され、C-durに転調し、27小節目で一旦C-durで終止します。

そして27小節目の2拍目裏からは長いドミナントの部分が続きます。

F-durのドミナントであるC7の和音が長く続き、rit.とフェルマータでこの部分を終わり、続く再現を期待させます。

部分4(再現・コーダ)

a tempoになり、テーマが再現されます。

ダイナミックレンジが冒頭と異なりpになっていることに注意しましょう。

前の部分の終わりのfと対比されています。

4小節でテーマは終わり、その後はコーダの要素へと移ります。

最後はF-durのスケールで駆け上り、この曲を終わります。

再現を期待させよう

この曲のポイントは、再現の前の長いドミナントです。

再現の前に再現を思わせるフェルマータなどがある曲はありましたが、このようにはっきりと属和音が連続しているのは、ローズのエチュードで初めて見られるパターンです。

これまでエチュードの再現の前は…

このエチュードの分析で重要視しているのが、構成です。

その構成を明確にするために、提示されたテーマが再現されることに注目し、どの曲も再現の部分を明示してきました。

その再現と前の部分に注目してみると、いろんなパターンがありました。

  • リタルダンドがある
  • 音符がフェルマータによって伸ばされている
  • 休符がフェルマータによって伸ばされている
  • 上記が組み合わされている
  • 特になにもない

このように、再現を予感させるように音楽ができているのが分かります。

この曲の場合は…

さて、ではこの曲の場合はどのようにして再現を期待させているのでしょうか。

  • リタルダンドがある
  • 音符がフェルマータによって伸ばされている
  • 休符がフェルマータによって伸ばされている
  • 長いドミナントが続く(←NEW!!)

今までもあったような要素に加え、長いドミナントが続いているのがこの曲の特徴です。

5小節間という長い時間をかけて、F-durの属七の和音がしつこく繰り返されています。

そして最後はリタルダンドとフェルマータがあり、再現を十分に期待させる音楽になっています。

再現を期待させよう

この部分は聴衆に再現を期待させることを目的としています。

長い属和音が続くと、聴衆はその属和音が主和音へと解決し、テーマの再現につながると予想します。

もちろんこのまま楽譜通りに吹いてもその効果は得られます。

しかし、奏者が構成を理解し、後に現れる再現のためのドミナントなんだ、ということを意識できて吹いていると音楽の説得力がさらに増します。

再現の前はどうなっている?

他の曲でも、再現の前は同じような工夫がされていることが多いです。

特にドミナントが長く続くのは定番です。

他の曲を見てみるときも、再現の前がどのようになっているかチェックしてみてくださいね。

ではまた次回(^^)

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