こんにちは。お米を育てる音楽家、ジョーです。
今日、紹介するのは
ジャック・ランスロ の「クラリネットの初歩」
というスケールの教則本です。
なぜスケールの導入として最適なのか、ご紹介します。
本書の特徴
「はじめに」に
各種の音階を、生徒に有益な指の練習と、さらに有益な音の練習を短くまとめ、小練習曲の形式にすることを思いつきました。
「はじめに」
と書かれているように、音階による短くまとめられた有益な練習であること、そして小練習曲の形式であることが本書の特徴です。
特に後者、小練習曲の形式であることは非常に重要です。
スケールを機械的に捉えることのないよう、クレッシェンドやデクレッシェンドなどの指示もあり、音楽的に表現できるようにていねいに書かれています。(この点については後に詳しく述べます。)
また、タイトルに「初歩」とあるように、初心者を対象としていることも特徴です。
用いられている音域は高いレまでのため、初心者にとっても無理なく取り組めることでしょう。
記譜も四分音符と八分音符のみが使用されており、見た目も易しい印象になっています。
調号3つまでのスケールが載っています。
音域 | 最低音~高いレ |
スケールの順番 | 次第に調号が増えていく(C,a,G,e,F,d,D,h,B,g…) |
短音階 | 主に旋律的短音階、一部に和声的短音階 |
パターン | 10種類(スケール、分散和音、小練習曲など) |
内容
はじめに
ハ長調
イ短調
ト長調
ホ短調
ヘ長調
ニ短調
ニ長調
ロ短調
変ロ長調
ト短調
イ長調
嬰ヘ短調
変ホ長調
ハ短調
スケールの導入として最適
だいぶクラリネットに慣れてきてスケール練習もしたい、という初めてのスケール練習に最適な一冊です。
初心者にとってシャープやフラットが多い調の練習は負担がかかります。
初心者に限らず、一般的に調号が多い曲を吹く機会もあまりないでしょう。
つまり、調号が3つまでの調を苦労なく吹くことができれば、多くの曲に対応できるのです。
調号が多い調の練習はこの本を吹き終わってからでも遅くないでしょう。
むしろ、この1冊には様々なパターンが含まれているため、まずこの1冊をきちんと吹けるようにすることの方が上達への近道と言えるかもしれません。
音楽的にスケールを演奏しよう
スケールの練習として一番ダメな練習方法は、何も考えずにとにかく機械的に指を動かして練習すること。
もちろんスムーズに速く指が回るようにすることも大事ですが、それは最終的な段階です。
先述したとおり、この教則本の優れている点としてクレッシェンド・デクレッシェンド・フォルテ・ピアノが書かれている、ということが挙げられます。
それらをよく観察すると、上行音型にはクレッシェンドが、下行音型にはデクレッシェンドが書かれていることに気付きます。
これらは音楽を表現する上で、最も基本的な歌い方の一つになります。
すなわち、この教本は音型に合わせた自然な表現を関連付けさせることを意図していると言えるでしょう。
他のスケールにおいても、頂点に向かってクレッシェンドし下行するときにデクレッシェンドすると、無機質にならず、音楽的に仕上げることができます。
ただし、やりすぎは禁物ですので、センスよく自然に表現できるよう、先生に指導していただきましょう。
クレッシェンド・デクレッシェンドを忠実に表現して1冊をきちんと練習し終わる頃には、他のどんなスケールを吹いても音楽的に吹けるようになることでしょう。
さらに、曲の中でもメロディーの音型の上行・下行に合わせて自然な音楽的な表現ができるようになることでしょう。